焼却施設13ヵ所において,労働者の血清中ダイオキシン類濃度と堆積粉塵中ダイオキシン類濃度を測定し,両者の関係を検討した.その結果,以下のことがわかった.1)堆積粉塵の分析により,ダイオキシンの中では八塩化ダイオキシンおよび七塩化ダイオキシンが,またジベンゾフランの中では,八塩化ジベンゾフランおよび七塩化中ジベンゾフランが主成分であることがわかった.ダイオキシンとジベンゾフランを合わせた毒性等量は0.54~33ngTEQ/gと一般土壌の1,000~10,000倍のレベルであった.2)全焼却施設労働者の血清中のダイオキシン毒性等量,ジベンゾフラン毒性等量,およびダイオキシンとジベンゾフランを合わせた毒性等量の平均値はそれぞれ16,12および28pgTEQ/g脂肪であった.血清中の六塩化および七塩化ジベンゾフラン濃度が一般人よりも有意に高くなっており,勤務中にこれらの物質の取り込みがあると考えられた.3)堆積粉塵中ダイオキシン類濃度と血清中ダイオキシン類濃度の関係の検討では,過去7年以内に施設内の全面的な改造工事を行った3施設を除けば,血清中の七塩化ジベンゾフランは堆積粉塵中の濃度と正に相関していた.したがって,焼却施設の堆積粉塵中ダイオキシン類濃度を測定すれば,労働者の血中ダイオキシン類濃度測定を含む健康調査を実施することが必要か,否かの判断が可能かもしれない.