30, 35, 40歳に到達した勤労者で血清コレステロール(CHO)あるいは血清中性脂肪(TG)高値例に運動習慣の見直し, 高脂血症についての知識の習得を目指した1年間の教育プログラムを職場で実施した. 8年間でのべ420名を選定し, プログラム項目の最大酸素摂取率測定, 高脂血症教室, 試食会, 血清脂質測定への参加率は各々平均86%, 59%, 35%, 61%だった. 初回の最大酸素摂取率推定値と前後の血清脂質値が測定できた男性214名(1年後), 125名(5年後)をリポタンパク表現型でII a型, II b型, IV型に分類し教育効果を判定した. II a群は1年後(n=117)にCHO値, low density lipoprotein (LDL)-CHO値がともに約10mg/d l 減少しLDL-CHO値の低下は5年後(n=69)も認めた. II b型群のTG値, LDL-CHO値は1年後(n=44)のみ有意に低下し, CHO値は1年後, 5年後(n=25)とも有意な低下を認めた. IV型群ではTG値の改善は認めなかったが1年後(n=53), 5年後(n=32)までHDL-CHO値の有意な増加を認めた. II b型ではII a型に比しBMI, 体脂肪率とも有意に高く最大酸素摂取率推定値は低値を示した. また, IV型は喫煙率が高い特徴を示した. 40歳以下の高脂血症例をリポタンパク表現型で分類すると特徴ある体型, 習慣がみられ, 健康教育の効果も異なった. 血清脂質異常の改善につながる教育には対象の特徴に合わせた効果判定が必要と考えられた.