理数系では、良い論文というものは、必ず査読つき学会誌に掲載されるはずのものと想定されている。人文系では、必ずしもそうではない。査読つき学会誌に掲載されていなくとも良い論文は良い論文である。人文系の学問における査読には、「帰属学問の確認」という作業と、「内容の評価」という2つの異なる作業がある。いずれの作業も、境界領域の研究論文が査読を通る可能性を低くする危険性をもつ。良い論文、面白い論文でも、学会誌の査読を通過しない可能性が大きいことを認識し、査読なしの論文の価値をも認めておく必要がある。