本稿では,ゲーム理論の基礎となる標準形の非協力ゲームについて概説する.標準形の非協力ゲームでは,複数のプレイヤが,自身の利得の最大化を目指して,独立かつ同時に行動を選択する.各プレイヤの利得は,自身の行動と他のプレイヤの行動の組合せにより決定される.非協力ゲームの帰結を予測するために,様々な均衡概念が提案されている.本稿では,標準形の非協力ゲームの基礎となる用語と均衡概念について概説する.また,単純に標準形の非協力ゲームを記述した場合,その記述量はプレイヤの数に対して指数的に増加する.本編では,ゲームの簡潔な記述方法であるグラフィカルゲームと混雑ゲーム,およびこれらのゲームにおいて均衡を計算するためのアルゴリズム/計算量について概説する.