従来からフォールトの潜在が疑われる(Fault-prone:FP)モジュールをメトリクスによって予測するという研究が行われている.そういった研究の成果は現場でのレビューやテストの計画に役立つと思われる.そこで本論文では,その種の研究成果を現場で活用する場面を想定し,限られた予算や時間の下でどのモジュールを重点的にレビューすれば最大限の効果が得られるかという問題に着目している.ここでは,“モジュールをレビューする価値” をそのモジュールのFP度合い(メトリクス値)で表し,あわせてそのレビューに要するコストも考慮しつつ,限られた予算内でレビュー価値が最大となるモジュール選択を0-1整数計画問題,すなわちナップサック問題として定式化することを提案している.NASA IV & V公開のデータを対象に500個のモジュールを無作為抽出したシミュレーション実験では,提案法によって費用対効果の高いモジュール選択が示されている.