マルチエージェントシステムの研究分野において,複数論点交渉問題(Multi-issue negotiation)が注目を集めている.特に,筆者らは一般性が高く実世界に近い問題が扱える複数の論点が相互依存関係にある交渉問題に注目している.本論文ではエージェントがどのくらい自分の選好情報を公開しているかを表す指標として公開範囲を定義し,公開範囲に基づいて閾値を調整するメカニズムを提案する.また,本手法を用いることで過剰にメディエータに自分の効用情報を公開することなく最適率の高い解を得られることをシミュレーション実験により示す.さらに,本手法の計算量に与える影響についても議論する.