ある目的でネットワークを構成する際,その目的について最適なトポロジーを設計する取り組みはさまざまな分野で行われている.これら従来研究の多くは,静的に与えられる諸条件のもとで,最適なトポロジーをどう設計するかに焦点を当てたものである.一方で,実際のネットワークの構築を考える際,一斉にある規模のネットワークを構築するのが困難な場合が多く,小規模のネットワークを使用しながら大規模に発展させる場合は少なくない.そこで本論文は,ネットワークの成長も考慮した最適なネットワークの構築を実現できるかについて調査した.具体的には典型的なネットワークとして待ち行列ネットワークを取り上げ,近年の複雑ネットワーク研究で提案されてきたさまざまな成長型ネットワークモデルの最適性を調査した.数値実験より,トポロジー生成規則に基づく段階的・逐次的トポロジー生成によって準最適なトポロジーを生成できることを確認した.また,ネットワークを構成する目的や与えられる条件によって,最適なトポロジー生成規則はさまざまであることが示された.