帰納メタ論理プログラミングとは,メタ論理プログラミングを用いた帰納推論の定式化である. 訓練例やデータからそれを説明する仮説を論理プログラムの形で生成する帰納推論は帰納論理プログラミングとよばれている.帰納メタ論理プログラミングでは,その仮説の生成操作を論理で表現する.精密化演算とは,帰納論理プログラミングにおいて仮説となる論理プログラムを生成するために用いられる演算である.本稿では,帰納メタ論理プログラミングの従来研究の問題点として,(1)仮説空間の論理表現が明示されていないこと,および(2)帰納推論の成功規準が十分に表現されていないことの2点を,帰納論理の計算論的な定式化と比較することにより明らかにする.第一の問題点については,精密化演算を論理プログラムで表現することが仮説空間を論理を用いて表現することなる,という性質を用いて解消する.第二の問題点については,帰納推論の成功規準として極限における同定を採用する場合において,近年Martinらによって考案された演繹推論と帰納推論を融合した論理体系を用いることによって解消する.