本稿では,ネットワークシステムにおけるセキュリティの要とも言える認証プロトコルについて,その前提となる議論からメカニズムや設計例などを交えながら,特に,その「安全性」についての説明を試みたいと思う.通信の盗聴,改竄,成り済ましなどの脅威があるインターネットのような通信路において,たとえば,認証を行っているネットワークシステムを用いるとなぜ「安全」な通信を実現できるのか?という疑問を解く鍵となるように,なるべく分かり易くまとめてみた.また,単に利用の観点だけでなく,仕組みの理解を中心にまとめた.たとえば,認証プロトコルを設計や変更する際に,もしくは,それをネットワークアプリケーションなどに実装して組み入れる際に,なにかしらの助けになるように,実例を用いて説明を試みている.