本論文では,岡山地域における中小企業の産学連携状況を概観した.中小企業は自ら抱える課題解決に大学を活用することでイノベーションを実現できる.このような視点から,主に技術的側面で行われた具体例を紹介するとともに,類型を整理した.まず共同研究については,地域資源活用型,共同研究成果である製品の販売市場開拓におけるプラットフォーム財団活用型,研究スタートにおける仲介機能を金融機関が果たす産学金連携型の事例を述べた.つづいて,行政の中小企業に対する販路開拓支援,TLO活用による新規製品開発,学会賞受賞による企業ブランド力向上について,実例に基づいて述べた.そして,地域中小企業との産学連携においては,連携研究の入り口としてのシーズ情報提供と同様に出口支援である販路開拓が重大な要因であることを示した.