産学連携の贈り物は大きく,現代社会にとり不可欠なことは論を俟たない.その第3回として,私は産学連携の本質「異種異質連携による知の生産」を中心に述べてみたい.産学連携ほど様々な解釈をされているものはない,というのが筆者の持論だが,贈り物を考える前にもう一度その本質について考えてみよう.私は産学連携を大学の事業とは捉えておらず,大学で行うべき研究と教育の比較的新しい学際分野と考えており,その立場から言えば本当の贈り物はこれから姿を現して来る.いま語るべきは小さな成果ではなく未来に向けての課題であり,結局そのことが最も大きな贈り物を生みそうである.