本研究では, 企業のメンタルヘルス風土に関する測定尺度が構成され, その規定因と影響について検討が行われた。無記名による質問紙調査が, 民間企業に働く男女595人 (有効回答率73.0%) を対象に実施された。因子分析の結果, 企業のメンタルヘルス風土測度からは3つの因子が抽出され, 「メンタルヘルス風土評価」「メンタルヘルス不調不安」「メンタルヘルス理解」と名付けられた。重回帰分析の結果, メンタルヘルス風土評価は企業の取り組み施策によって規定される一方, 職務満足度やディストレスに影響を与えていることが明らかとなった。また, メンタルヘルス不調不安, メンタルヘルス理解は創造的組織人行動の下位尺度であるリスク受容に影響を持つことが明らかとなった。これらのことから, 良好なメンタルヘルス風土の醸成の重要性が確認され, そのための方策として, メンタルヘルス施策の実施が提案された。