内外集団間差異と内集団での合意性推測の関係を検討するため, 3つの研究および補足研究が行われた。研究1およびその追試である研究2では, ある特定のトピック (普遍的に評価される事柄あるいは多様に評価される事柄) についての内外集団間差異の教示を大きくすると, 内集団での合意性推測の程度が高くなるという予測を立て検証した。大学生を対象としたこの二つの研究と補足研究により, 推測に用いられるトピックのタイプに影響を受けるものの, 予測は部分的に確証されることが示唆された。すなわち, 特定の二つの集団を比較するトピックで, 二集団を比較することが, 適切であると考えられる場合, 内外集団間差異の教示は, 内集団での合意性推測の程度を変動させた。会社員を対象とした研究3では, 推測に用いられるトピックのタイプに関わらず, 知覚された内外集団間差異の程度と, 内集団での合意性推測の程度には, 正の相関が認められた。上記の研究結果より, 推測課題による制限はあるものの, 内外集団間差異の知覚は, 内集団での合意性推測の程度と関連があることが示唆された。