本研究は報酬量と意見変容量との関係を調べることを目的とし, Festinger & Carlsmith (1959) の実験に準拠して二つの実験が行われた. 連続20分間休憩なしに, 単純で退屈な逆アルファベット書記作業を被験者に行わしめた後, 次の人 (サクラ) との対面状況において 「作業は非常におもしろかった」 という感想を伝えさせた. 実験Iでは500円 (5, 000円) の 「報酬の約束」 が小切手で与えられた. 実験IIでは, 「選択の有無」 と 「報酬量の大小」 を組み合わせて実験がデザインされ, 報酬として100円 (500円) が現金で支払われた. 実験I・IIにおいて, 報酬量と意見変容量との関係は有意なものではなかった. ただし, 実験IIにおいて, Free choice群は, No choice群に比して有意にロール・プレイングの方向へ意見変容を示した. 以上の結果に関して, コミットメントおよびcross-culturalな側面から, 若干の考察がなされた.