本研究は, 他者のパーソナリティの認知における変容を, 実験的な場面で検討することを目的とした. 被験者に, 実験協力者とゲームをさせ, ゲーム前後での認知の変容を分析した. 得られた主な結果は次の通りである. 1. ゲームで他者に勝った場合は, 認知は他者を低める方向へ変容する. この傾向はself-esteemの低い女子において特に顕著である. 2. ゲームで他者に負けた場合は, 認知は他者を高める方向へ変容する. ただしこの傾向はself-esteemの低い女子にはあてはまらない. 3. 認知の変容は, 他者を高める方向よりも, 他者を低める方向で著しい. 4. 認知の変容は, 場の提示する刺激と直接に関係する側面で著しい. 以上得られた結果に対し, 幾つかの可能な解釈が提示された.