本研究の目的は,2種類の目標意図(地域焦点型目標意図・問題焦点型目標意図)およびコモンズの連続性認知が地域住民の環境配慮行動に及ぼす影響を検討することである。琵琶湖の流域住民335名に対する質問紙調査を行った。共分散構造分析による分析の結果,問題焦点型目標意図は,行動意図に対して幅広く影響しており,特にその影響は個人行動意図に対して強いことが明らかになった。また地域焦点型目標意図は,問題焦点型目標意図に影響を及ぼし,間接的に行動意図に影響を及ぼしていることも示された。コモンズの連続性認知は,各目標意図だけでなく,個人行動意図・集団行動意図にも有意な影響を及ぼしていた。以上より,地域住民の環境配慮行動を促進させるためには,コモンズの連続性認知を喚起させることが重要であることが示唆された。