本研究は,コミュニケーション相手との親密度が高い群と低い群におけるメディア・コミュニケーション観の差異を,3種類のコミュニケーション形態(対面,携帯電話,携帯メール)で比較検討した。実験は,大学生の男女301名を対象に,質問紙を用いて行った。その結果,対人緊張,親和感情,情報伝達という3つのメディア・コミュニケーション観因子が抽出された。また,2(親密度:高群,低群)×3(コミュニケーション形態)の分散分析の結果,親密度高群と低群とのメディア・コミュニケーション観の差は,コミュニケーション形態ごとに異なることが明らかになった。さらに,親密度の違いによって,メディア・コミュニケーション観因子の因果関係が異なることが明らかになった。この結果から,メディア・コミュニケーション評価を測定する際には,コミュニケーション相手を特定することが必要であるといえる。