セネガル共和国(以下、セネガル国とする。)は、1960年に旧宗主国であるフランス共和国から独立し、民主主義国家を形成した。植民地時代に設置された公的な看護師養成教育機関は、独立後セネガル国に引き継がれ、フランスの看護教育制度の影響を強く受けながらも独自に発展し、今日では仏語圏西アフリカを代表する看護師養成教育機関となっている。 本稿の目的は、セネガル国保健医療従事者のなかでも最大多数を占める看護師に注目し、看護教育の歴史的変遷を明らかにする事である。調査方法は、関連資料の収集と記載内容の分類およびインタビューとした。その結果、公的看護師養成教育機関は、1922年の訪問看護師養成学校が最も古く、独立前に計8校が設置された。セネガル国政府は、1960年の独立以降経済社会開発国家計画を策定し、保健医療問題への対策を重点課題とし看護教育に力を注いだ。1992年、当時の社会保健活動省により、保健福祉に関わる14の公的養成教育機関を統合し国立保健社会開発学校を設置した。2003年には、看護師の輩出数増加と看護教育の地方分権化を目的に、准看護師養成を開始した。2010年には、看護教育の質の向上を目指し看護教育基準が改訂され、今後全ての看護師養成教育機関に基準が適応される予定である。 セネガル国における看護教育の今後の課題として、看護師需給予測等を通じた保健人材管理強化や質の確保が必要であると考えられる。