国際緊急援助活動(IDR)における看護師の役割は、派遣された医療チームの状況により様々であり、過去には準医師的業務を実施したという報告もある。本研究は、従来あいまいであったIDRにおける看護師の役割を明確にし、どの様な業務を看護師の役割として考えるべきかを検討した。 過去にIDRに参加した経験のある医療従事者61名を対象に、自記式質問紙調査票を郵送にて配布した。調査期間は2005年9月1日-12月31日の4ヶ月間である。調査内容は、先行研究等で実際に看護師が実施したと報告された業務内容17項目を抽出し、それぞれの業務が適切であるか、またIDRで求められる看護師の役割についての意識調査を実施した。回収は53名で、有効回答を得た50名(医師24名、看護師17名、医療調整員等9名)を解析対象とした。 調査の結果、適切な災害看護に関する教育やトレーニングを受けていれば、「トリアージ」および「創洗浄」はIDRにおける看護師の役割として可能であるが、「縫合」、「デブリードメント」、「切開」、「抜糸」に関しては、IDRにおける看護師の役割として困難であろうと、調査対象者が考えていることが判明した。