構成失害の一例を報告し,文字の知覚障害の合併を指摘した.症例は43才の右利き女性で,病前書字能力に優れていた.CTで左縁上回皮質下に低吸収域が認められ、脳梗塞と診断された.神経心理学的には構成失書,構成失行、肢節運動失行、観念運動失行、観念失行そして軽度の失語症が認められた.自発書字と写字に主要な障害を示し,仮名よりも漢字,そして画数がより多い漢字で障害が著しかった.本例は音読が良好であるにもかかわらず,正しい漢字の選択や,誤字訂正などの「文字形態の視覚性知覚検査」で著しい障害を認めた.構成失書には表出面の障害と表裏一体をなして分析的な文字形態の知覚障害があることが示唆された.