観念運動失行と観念失行の定義,検査法および問題点について述べた。まず,観念運動失行と観念失行の定義,分類および検査法については,本稿では山鳥に従った。山鳥の分類では,観念運動失行では自動詞的運動と他動詞的運動が混在し,下位分類の可能性も示唆された。また,観念失行については,ほかの道具の使用障害をきたす病態との鑑別が必要になる場合があり,そのなかでも意味記憶障害と多感覚様式失認との鑑別は注意深い臨床観察により可能であると考えられた。