アルコールコルサコフ症候群の臨床症状および123 I - IMP SPECT 所見について検討を加えた。6例のアルコールコルサコフ症候群において作話は全例にみられ,空想作話 (2例) および当惑作話 (4例) に分類することが可能であった。また,健忘,見当識障害も全例に認められたがその程度は様々であり,作話の程度とも関係がないように思われた。 CT または MRI 上では全例軽度の萎縮病変を認めるのみであったが, 123 I - IMP SPECT ではさまざまなパターンがあるものの,6例に共通して IMP の集積の悪い領域は前頭葉の内側部であった。さらに,作話の消退とともに SPECT において前頭葉における IMP の集積が相対的に増加していた症例が観察されたことより,前頭葉内側部の機能障害がコルサコフ症候群における作話の病態生理になんらかの関係がある可能性が示唆された。