本研究の目的は, 教育実習生を対象に教育実習前後での授業観察力の変容を授業・教師・子どもイメージとの関連から検討することであった。本研究では, 授業観察力を問題指摘数, 代案生起数, 授業評定力の3観点から捉えることとし, 小学校の算数の授業ビデオを用い, 53名の協力者に実習前後で調査を行った。その結果, 授業観察力に関しては,(1)実習生の授業観察力 (問題指摘数・代案生起数) は全体的に向上すること,(2) 授業観察力 (代案生起数) の向上と実習生の授業・教師に対するポジティブなイメージとの間に密接な関係があること,(3)実習生の授業評定力は, 実習前後で一貫して熟練教師に及ぼず, 授業評定の仕方が甘いこと, などが示唆され, 教育実習の効果に関する示唆と合わせて検討された。