総合的な学習 (総合学習) の時間の導入から3年が経過し, 成果の一方さまざまな困難も指摘されている。総合学習で生徒への適切な支援やカリキュラム編成を考えていくためには, 総合学習の達成を促進する要因を検討する必要がある。本研究では, 先行研究ではあまり検討されてこなかった総合学習に特徴的な学習様式に着目し, 総合学習を達成するために必要な要因を検討した。特に, 量的検討と質的検討を組み合わせた手法を用いて, 探索的な検討を行った。調査1では, 総合的な学習に参加した高校生 106人に対して質問紙調査を行った。その結果, 教科の成績のみならず, テーマ決定や学習者の意欲・作業の進捗状況などが, 総合学習の成績と相関を持つことが示された。調査2では, 調査1において残差が大きかった生徒を抽出してインタビューを行い, 事例を通した質的な検討を行った。その結果,「生徒の自我関与の深い領域とテーマとの結びつき」「研究の枠組み・計画の明確性」「情報収集や支援・資源へ向かう能動性」「教師からの適切な支援の有無」の4つの主要な要因が得られた。それぞれの要因に関して, 総合学習独自の学習様式との関連から考察を行った。