本研究では中学生を対象に, 数学学習場面での「動機づけ信念-学習方略-学習成果」の動機づけモデルを構成して, メタ認知活動がそれらの関係性を変化させるという調整効果を持っているのではないかと予想し, 検討した。動機づけ信念の尺度には成功期待と課題価値を, 学習方略の尺度には暗記・反復方略と意味理解志向的方略を, 学習成果の尺度には1学期期末テスト得点を使用した。メタ認知尺度得点にもとついて調査対象者をメタ認知低群・中群・高群の3群に分けて測定方程式モデリング・多母集団同時分析を行った。メタ認知低群と高群を比べると, 動機づけ信念と意味理解志向的方略の関係, 学習方略と学習成果の関係において違いが見られた。またメタ認知中群では他の群に比べて, 動機づけ信念, 学習方略, 及び学習成果の関係が弱かった。これらのことからメタ認知活動は曲線的な調整効果を持っているということが示唆された。