本研究は,類題作成経験が類推的問題解決に与える影響について, 短大, 大学生と大学院生らを対象に検討した。実験1 (n=36) では, 放射線課題の同型問題を用いて検討を行った結果, 事例の学習の際に類題作成活動を行った群は, 統制群と比較して問題解決成績が高かった。実験2 (n=76) では, 割合文章題を用いて検討した結果, 類題作成群は同様に問題解決成績が高かった。また, 複数の事例を提示した類題提示群と比較しても成績が高かった。以上から, 類題作成経験は, 問題解決を促進する効果的な教授介入方法であることが示された。また, あらかじめ作成された類題を吟味することではなく, 主体的に類題を作成することが重要であることが示された。最後に, これまでの認知研究をふまえ, 類題作成活動の認知プロセスが議論された。