気晴らしを効果的に活用することは, 適応的に抑うつを改善するために極めて重要である。気晴らしの効果的活用に関連する要因として, 情動調節に対する有効性認知の重要性が示唆されているが, 有効性認知と抑うつとの関連は先行研究により必ずしも一貫していない。不適応的に気晴らしを用いることによる依存の問題も指摘されることから, 気晴らしの用い方を考慮した検討が必要であると考えられる。そこで, 本研究では, 有効性認知と抑うつとの関連に依存状態の程度がどのような影響を及ぼすかについて検討した。学期末課題を抱えるストレス状況を対象として, 質問紙調査を実施し, 重回帰分析による検討を行った。従属変数として抑うつを指定し, 独立変数として有効性認知と依存状態, 共変量としてストレス状況に対する脅威性認知, 交互作用項として有効性認知と依存状態との積を投入した。分析の結果, 交互作用が有意であり, 有効性認知と抑うつとの関連は依存状態の程度により異なることが示唆された。交互作用の性質を検討したところ, 依存状態の程度が強まるほど, 有効性認知が抑うつの低減を予測する程度が弱まることが示唆された。