Tatsuokaのルールスペース法 (RSM)は, テストから学力診断的な情報を取り出すことを目的に, 項目反応理論に基づいて考案されたテスト分析法である。ルールスペースの2つの軸は, テストで測定される特性を表すθと反応の非典型性を表すζで示される。「項目に正答するには, 必要なアトリビュートを全て備えていること」という測定パラダイムに基づき, テスト結果がルールスペース上の知識ステートとして説明される。アトリビュート, および, それらと項目との対応関係を示す照応行列が適切に作成されるならば, 個々の解答パターンは確率に基づいて知識ステートに分類することが可能であり, テスト結果から診断的情報を抽出することができる。本研究では, 日本語語彙理解力テスト (平他, 1998) のデータを分析し, 被験者の多い知識ステートを樹状図で表すことによって, テストの妥当性について検討した。30項目に対する1,500名分のデータについて, 2名の専門家の協力を得て作成したQ行列を用いて分類したところ, 80.5%の分類成功率を得た。また, それを用いた樹状図による分析では, 日本語語彙理解力テストの妥当性が検証された。