本研究では, 高校におけるチーム援助のコーディネーション行動およびその基盤となる能力および権限について検討した。まずコーディネーション行動尺度とコーディネーション能力・権限尺度を, 実践事例と教師やスクールカウンセラーからの調査に基づき作成した。その質問紙を用いて, スクールカウンセラー配置高校110校の学年主任, 生徒指導主任, 教育相談担当の長, 養護教諭, スクールカウンセラーを対象として調査を行った。その結果, コーディネーション行動は, 個別援助チームレベルでは, 説明・調整, 保護者・担任連携, アセスメント・判断, 専門家連携の4因子, システムレベルでは, マネジメント, 広報活動, 情報収集, ネットワークの4因子から説明できた。またコーディネーション能力・権限は, 状況判断, 専門的知識, 援助チーム形成, 話し合い能力, 役割権限の5因子で説明できた。能力・権限がコーディネーション行動に与える影響について分析した結果, 役割によって影響のあり方が異なったが, 援助チーム形成能力は役割を超えて影響力が強かった。これらの結果からチーム援助のコーディネーションのあり方について考察した。