本研究は, 学習時の再活性化量が分散効果の原因だとする再活性化説の知見を基に, 効果的・効率的でやる気の出る, 教育実践でも利用できる反復学習方式を考案し, その有効性を検証することを目的とした。実験1では, 全項目をできるだけ効果的に学習させるための「原理1: 複数の学習項目をまとめて反復学習する場合には, 2セッション目以降の呈示順序を再生率の低い順に並べ替える」を適用した方式, Low-First方式の効果と学習者の評価を調べた。その結果, Low-First方式は, 単純反復方式より効果的で, 覚えやすさ等の点での評価も高いことが明らかとなった。実験2では, Low-First方式に, できる項目の無駄な反復を避けてやる気を高めるための「原理2: 再生率が一定値に達した項目を除外する」を加えた場合の効果, 効率と学習者の評価を調べた。その結果, 原理1と原理2を組み合わせることで, Low-First方式が, 著しく効果的, 効率的でやる気の出る方式となったことが明らかとなった。最後に, 原理1のメカニズムと検索練習効果やリハーサル・処理水準との関係や, Low-First方式の動機づけ効果について論じた。