山崎・平・中村・横山 (1997) に引き続き, 本研究においては, アジア出身学生の対日態度, 及び対異文化態度と, それらに影響する要因の関係を検討した。態度形成モデルは, エスニシティ (民族性) の観点から構成された。「対日態度」,「対異文化態度」,「友人関係」,「肯定的経験」,「否定的経験」,「自分たちのエスニシティがホスト社会に受け入れられているという認知」といった構成概念が測定された。日本語学校に通う399名のアジア出身学生が質問紙に回答した結果, 以下の点が示唆された: (1)「日本人による受容の認知」は, 肯定的な対日態度'対異文化態度の形成に重要な役割を果たす,(2) 中国出身の学生は, 韓国出身の学生よりも, 日本人と豊かな「友人関係」を形成しており,「肯定的な経験」が多く, 滞在社会は自分たちの民族文化に対して関心を持っている, と感じており, より親和的な「日本人イメージ」を形成している,(3) さらに, 前回, 留学生を対象に行った調査結果と比較したところ, 日本語学校生は留学生よりも,「肯定的経験」が少なく「否定的経験」が多いこと,「日本人との交流意図」,「異文化との交流意図」が低いことが示唆された。