語彙獲得の初期にある幼児はごく普通の環境の中で, 名称を知らない多くの未知物に取り囲まれていると言える。もし相互排他性 (Markman, 1989) が語彙獲得において役立つのであれば, 未知物が1個よりも多くある環境でも役立つことが示される必要がある。本研究では, 4歳児58人を被験児とし, 1個の既知物と3個の未知物の計4個を提示し, 子どもたちが環境から与えられる手がかり (共同注意手がかり・場所知識手がかり) を使用し, 同時的に相互排他性をも適用して, 最終的に適切に特定の未知物に新奇な名称を結びつけられるかを調べた。その結果, 4歳児では, 適切な共同注意手がかりさえ与えられれば, 語の意味を推測するために考慮すべき事物の範囲を正しく特定できること, 同時的に相互排他性をも適用し, 最終的に新しい語を適切な事物に関係づけられることがわかった。