本研究は, 青年期の自我発達上の危機状態 (ECS) に影響を及ぼす要因について明らかにするものである。研究1では, 191名の中学, 高校, 大学生に対して, ECSと自我の強さ, 前思春期のchumの有無 (1), 家族関係 (II), 交友関係 (III) を測定する尺度を実施した。研究2では, 299名の中学, 高校生に対して, ECSと (1),(II),(III), これらに加えてライフイベントの衝撃と幼児期の親イメージを測定する尺度を実施した。その結果の主な点は以下のとおりであった。(1) 自我の強さの程度が, ECSに対してもっとも影響を及ぼす要因であることが明らかにされた。(2) Radke-Yarrow et al.(1983) のいう社会化理論, ECSに対してとくに幼児期を重視する理論は, 支持された。(3) ライフイベントの衝撃度もECSの中の不適応反応に対して影響を及ぼす要因であることが明らかにされた。