発達心理学におけるソーシャル・サポート・ネットワーク研究を簡単にレビューしたうえで, 子どもたちのソーシャル・サポート・ネットワークについて質問紙調査を実施した。調査対象者は小学5年生, 中学1~3年生, 高校2年生であった。調査対象者は, 9つのソーシャル・サポート質問項目それぞれに対して, 該当するサポート提供者を多肢選択式で選んだ。サポート提供者ごとに該当数を加算し, サポート得点とした。その結果, とくに小学5年生と中学生とのあいだにさまざまな変化が見られることがわかった。中学入学前後で, サポート提供者の中心が, 両親から親しい友だちへ移行するのである。性差も見られ, 全般的に女子の方がサポート得点が高かった。また, 学校の先生や塾・習いごとの先生のサポート得点は, 男女ともに非常に低かった。サポート提供者間の関連を検討するため, 男女別, 学年別にサポート得点を用いて主成分分析を行った。全般的に, 家族メンバー, 学校の先生, 親しい友だちは第一主成分の負荷が大きかった。各サポート提供者間の関連が密接だったのである。そこで, 各質問項目について, 学校の先生, あるいは塾・習いごとの先生だけを選択した調査対象者がいるかどうかを調べてみた。学校の先生, あるいは塾・習いごとの先生だけを選択した調査対象者が, 少数ながらも各学年に存在することがわかり, 学校の先生, あるいは塾・習いごとの先生がサポート提供者として独自に機能しうることを示した。最後に, ソーシャル・サポートの測定におけるいくつかの問題点について論じた。