本研究では, 大人が適切な動作を提示した場合, 4歳児と6歳児はことばの意味の推測において, 個別性のある事物 (個物, solid objects) の, 動作に関連する属性に注目できるかを検討した。実験では, 実験者は36人の4歳児と33人の6歳児 (いずれも日本児) に対し, 見慣れない標準刺激の個物を無意味ラベルとともに提示した。実験者は標準刺激の形に注目する動作 (例転がす) または材質に注目する動作 (例握り潰す) を行った。子どもたちはその後同じラベルで呼べるのは, 標準刺激と形が同じ事物または材質が同じ事物のうちどちらかを選択するよう求められ, その理由づけも求められた。結果は, 無意味ラベルの意味の推測において, いずれの年齢群の子どもたちも動作の情報を使ったことが示された。6歳児は 4歳児よりも, 動作に関連する事物の属性により巧みに注目していた。語彙獲得における大人の入力と動作の役割の重要性が議論された。