状況に依存する状態不安なる情動要因を軸に, プログラム学習において, この不安を誘発する原因とその機能を従来のテスト不安傾向 (特性不安) と学習行動との関係から検討した。 実験計画は次の如くであった。まず, 構造の異なるプログラムからふたつの状況が設定された。すなわちフレームシーケンスがステージ内で論理的にデザインされたプログラムと, randomにデザインされたものである。しかしふたつのプログラムのステージシーケンスは同じである。そして中学一年生165名の男子が, 1 ふたつのプログラム構造, 2 状態不安の3つり強度, 3 特性不安の3つの強度を考慮して'独立な18のグループに分割された。 SpielbergerのSTAIのSスケ一ルに相応する状態不安スケールを作成したが,これには3つの因子が含まれていた。すなわち, 1 心的飽和, 2 興味 (興奮), 3 緊張 (気がかり) であった。次にSTAIのTスケールに相応するスケールとして下山のAMTの中のテスト不安を意味する9項目が使用された。 主な結果は次の如くであった。 (1) random構造の教材によるプログラム学習の状況では, 高い状態不安が誘発されがちである。塗 (2) 特に, 高い特性不安をもつ被験者はrandom構造の教材のようなストレスを伴なう状況で,(1) の傾向を示す。 (3) 高い状態不安は学習行動のバランスを妨害し, その結果, パフォーマンスレベルは低下する。 (4) 状態不安の重回帰モデルは, 学習時間, 誤反応数, 特性不安から構成されたが, このモデルの予測度は高くはなかった (決定指数=0.260)。