1 筆者らのYG性格検査に関する確認的因子分析に基づいて, YG12尺度のプロフィールの組成を再現するための因子分析モデル公式が考案された。 2. このモデル公式によっていくつかの個人プロフィールが説明され, その際, SD因子群による反応の歪曲度をあらわすFS (Faking Score) や本来的気質因子の機能する成分の大きさを示すMS (Model Score) および誤差成分の大きさの指標となるAMS (AntiModel Score) などが定義され, それらを評価する公式が考案された。 3. このモデル公式のあてはまりの良さがAMSや独自因子の得点の分布により検証された。 4. 標準状況12尺度の情報のみから, 歪曲成分をとり除いた真の気質因子成分のプロフィールが高い精度で求められることが証明された。 5. このモデル公式による個人のYGプロフィールの分解と合成による, 個々人のYG検査結果の分析的総合的診断方法が考案され, この方法の将来における一般利用への可能性と留意事項が検討された。 6. 本研究は明示的に, 続らによるYG性格検査の批判的研究 (1970, 1971) への反証となっている。すなわち, YGプロフィールは少なくとも気質7因子構造空間での事象であることが明らかにされた。 7. SD因子の順逆機能についての注意が喚起された。(5) 8. 個人の質問項目への反応setの素朴さを測定する指標として一致得点 (CS) が提案された。 9. 3種のSD因子を評価するための短縮版の作成が提案された。