以上,価値判断状況と標準状況におけるYGに関する24尺度の因子分析を通じて判明したことは, (1)社会的望ましさの一次因子は3個あり,それらは1個の二次因子に統合され,一次,二次因子とも人格次元とはほとんど独立な次元として分離できる。 (2)SD次元を除いた残余空間にはほぼ独立に7個の一次因子と4個の二次因子が存在する。 (3)質問紙法における項目への反応は社会的望ましさ(SD)と個人的望ましさ(PD)と自己の性格認知の3つのベクトル和として理解できる。 (4)社会的枠組と個人的枠組の優勢さによるSD因子のあらわれ方の相違が気質因子との関連において考察された。 (5)以上の結果にもとついて,SD因子を含まぬ性格尺度構成が示唆された。