本研究は, 幼児の攻撃的行動に及ぼす代理強化の効果を, 成人がプレイ場面にいる場合といない場合とについて, オペラント水準を測定することにより, 詳細に検討することを日的とした。 幼稚園児84名を被験者とし, 映画視聴前後の行動を VTRに記録した。これにより攻撃的行動を分析した結果, 次の知見が得られた。 1, 幼児の攻撃的行動の解発に対し, 正の代理強化・負の代理強化ともに一定の効果をもつ。すなわち, 正の代理強化は攻撃的行動を増大させ, 負の代理強化は攻撃的行動を減少させる傾向がある。 2, 代理強化は攻撃的行動一般に対して一様に影響するものではなく, ある程度分化した影響をもつと考之られる。 3, プレイ場面での成人の存在は, 代理強化の正・負に関係なく, 幼児の攻撃的行動を減少させる効果をもつ。 4, 攻撃的行動のオペラント水準を考慮した場合, 攻撃的モデルが幼児の攻撃的行動の解発に及ぼす効果には, 被験者の性により有意な差はみられない。