自己認識の発達を明らかにするために, 11人の小学生の作文を1年生から5年生まで追跡し, 分析してみた。その結果, 次のようなことが明らかになった。 (a) 自己の認識は, 他を媒介として可能になる。 (b) 自己の認識は, はじめは外面的なもの (行動) の認識にとどまるが, 次第に内面的なもの (意識内容) の認識が可能になる。 (c) 自己の認識は, まず現在の自己の認識から始まり, ついで, 過去の自己の認識が可能となる。その結果, 変化するものとして自己を認識することができる。 (d) 自己の認識は, 個人としての他を媒介として始まるが, 次第に, 集団としての他を媒介にして深まり, そして, 集団の中の個としての自己の認識へと進む。