学力に関係する数多くの要因の影響を, 学力が形成される場である学校を研究単位として, 因子分析的に研究することを目的とした。 地域・規模・進学率を異にする神奈川県下の15の公立中学校長による, 自校の現状についてのQ分類の因子分析の結果, 3つの学校群が区別された。これは元型において地域と進学率の2軸のまわりに位置づけられるものであり, 地域性と学習指導方法との間に, ある関係の存在することが明らかになった。 中学校長と教育関係者による, 学力向上のための条件についてのQ分析の結果は, 2つの因子を抽出した。この2つの因子は学習指導の方法に関して対立的な内容をもつものである。 学校の現状と学力向上条件との関連をみるために, 学力要因の充実度係数を算出して, さきの学校群間で比較すると, 生徒, 父兄, 地域, 指導法の要因間で差の大きいことが見出された。