1 刺激語と反応語を含む文章化経験が, それらの対連合学習に対してどのような継時的効果をおよぼすかを検討するために, 2つの実験を企てた。 2実験1では, 刺激語と反応語を含む文章を作成する条件 (作文群), 同じく両語を含む比較的短い文章を読む条件 (短文読文群), 同じく両語を含む比較的長い文章を読む条件 (長文読文群), なんらの文章化経験も受けない条件 (統制群) を設け, 後続の対連合学習の成績 (正反応数) を比較した。その結果, 作文群が最も良い成績を示し, 短文読文群と長文読文群がほぼ同じでこれにつぎ, 統制群が最も低い成績を示した。 3実験IIでは, 文章化せずに単語の形のままで読む条件 (単語読み群) を設け, これと実験Iと同じ手続きに従う作文群, 統制群と比較した。その結果, 対連合学習の成績は作文主群が他の2群より有意に良かつたが, 単語読み群と統制群の間には有意差がなかつた。 4実験I, 実験IIのどちらにおいても, 文章化経験が対連合学習におよぼす効果と児童の知能程度との間には交互作用がみとめられなかつた 5以上の実験結果から, 対連合学習の刺激語と反応語を文章化することによつて, 意味的条件づけが成立し, 条件づけられた意味反応が刺激語と反応語の連合を媒介することが考察された。そして, 文章化が児童自身の活動としてなされる方がより効果的であつたことは, 児童の興味・関心や言語習慣・思考様式などの面から解釈された。