本研究の目的は, 小中学生用の自己評定による規範行動尺度を開発し, その発達的変化を横断的方法によって検討することである。小学3年生から中学3年生の児童生徒2,674名を対象に調査を実施した。まず, 小中学生用規範行動尺度を作成し, 信頼性と妥当性の検討を行った。その結果, 小中学生用規範行動尺度は, 「個人として遵守すべき行動」, 「対人間で遵守すべき行動」, 「対人間での望ましい行動」の3つの下位尺度からなることが示された。また, 尺度の内的整合性の検討, 確認的因子分析, 併存的妥当性の検討によって, 本尺度が一定の信頼性と妥当性を有することが示された。次に, 規範行動の発達的変化について検討した。分散分析の結果, (1) 規範行動は, 年齢とともに減少すること, (2) 男子の方が, 女子よりも低い学年段階で規範行動が減少することが示された。最後に, これらの発達的変化の結果について, 児童生徒の仲間関係の変化という観点から考察した。