本研究は, 教職志望学生の授業観察力の育成法として, 「グループディスカッション」「モデリング」の効果を学生の実習経験の有無に着目しながら検討することであった。そのため, 122名(2年生55名, 3年生67名)を対象にポスト調査での授業観察力が条件間でどのように異なるかを検討した。その結果, (1) 実習経験の有無にかかわらず, 「モデリング」を行うことが授業観察力の「問題指摘数」の側面を向上させること, (2) 実習経験の無い2年生において, 「基本的な教師の指導技術」に関する問題指摘数の向上に「グループディスカッション」「モデリング」の効果が部分的にあること, (3) 授業観察力の「代案生起数」の側面には「グループディスカッション」「モデリング」共に介入の効果が見られないこと, が主に明らかになった。