本研究では, ルール学習を行わせる際に, ルール命題の前件pと後件qとの間の関係性をあらかじめ明確に伝えておくことの効果について検討した。取り上げたルールは, 前件pが後件qの十分条件になっている金属特性に関するルールと, 前件pが後件qの必要十分条件になっている経済的競争に関するルールの2つであった。実験条件として, ルールの解説及びルール命題の提示とともに命題の2項間の関係性を明確に示すインストラクションを付加する条件(明確群), ルールの解説及びルール命題の提示までを行う条件(曖昧群), 課題のみに回答させる条件(課題群)の3条件を設定した。大学生190名を対象にした実験1では, いずれのルールでも明確群の課題成績が高く, 曖昧群と課題群との間には差が見られなかった。また, 実験1での問題点などを解消するためにインストラクションを改訂し, 大学生304名を対象に実施された実験2でも, 同様の結果が再現された。このことから, ルール命題の2項間の関係性を明確に伝えることにより, 課題へのルール適用が促進されることが明らかになった。