本研究では, (1) 非行少年38名を対象に, 視点取得能力の発達段階と対人葛藤場面における自己表現スタイル(アサーティブ, 攻撃的, 非主張的, 間接的, 短絡的)の選好との関連を検討した。さらに, (2) 12名を対象に, 絵本を題材とした非行少年用VLF(Voices of Love and Freedom)プログラムを実施した。プログラムでは登場人物の感情や考え, 心的葛藤を理解し, それを表現するなどの働きかけを行い, 介入前後の視点取得能力と自己表現スタイルの選好の変化から, プログラムの効果を検討した。 その結果, (1) 視点取得能力と「アサーティブな自己表現」との関連が確認され, 視点取得能力が高いほど, 「アサーティブな自己表現」の高い選好が明らかとなった。また, (2) プログラムの介入により, 視点取得能力の向上と, 自己表現スタイルの選好について適応的な変化がみられたことから, VLFプログラムの有用性が確認された。