本研究の目的は, 小学6年生の予期不安に関する調査を実施し, 中学校入学後の学校適応感との関連を検討することであった。小学生の予期不安は, 16名の中学生を対象に実施された予備調査を経て開発された「中学校生活予期不安尺度」によって測定された。さらに学校適応感を測定するため, 浅川・尾崎・古川(2003)の「学校生活適応感尺度」が使用された。研究参加者は, 男子小学生195名, 女子小学生153名であった。学校生活適応感尺度の下位尺度において以下のような結果を得た。(1) 教師との関係得点に時期×予期不安水準×性別の2次の交互作用が見出され, 予期不安低群において4月末では男子よりも女子の方が高かったが, 5月末にはその差は見られなかった。また, 予期不安高群において4月末では男子と女子の得点に有意差は見られなかったが, 5月末では男子よりも女子の方が高かった。(2) 情緒的安定性得点は, 予期不安水準の「低群」, 「中群」, 「高群」の順に高かった。(3) 部活動への意欲得点は, 4月末から5月末にかけて低下していた。以上の結果をふまえ, 学校心理学における個人—社会的発達の支援の視点から考察がなされた。