目標はポジティブな感情を活性化させる行動表象であるという視点に基づき(Bargh, 1990 ; Custers & Aarts, 2005a, b), 本研究では, 感情誤帰属手続き(AMP, Affect Misattribution Procedure ; Payne, Cheng, Govorun, & Stewart, 2005)が潜在目標の測定に応用できる可能性を検討するために, 日本人大学生62名を対象とした実験を行った。勉強目標や遊び目標に関連した画像をプライム刺激として用いたAMPは, 高い信頼性と中程度の効果サイズを示した。また, 潜在目標(AMP)と顕在目標(自己報告)は, 勉強に関しては中程度の相関を示したが, 遊びに関しては相関を示さなかった。さらに, 冬休み中の遊び行動は潜在指標と相関を示したが, 顕在指標とは相関を示さなかった。これらの結果は, 1)潜在指標と顕在指標は社会的望ましさが影響する程度に応じて一致・不一致を示し, また2)潜在指標は顕在指標よりも未統制の行動をよりよく予測するという, 潜在・顕在指標に関する一般的な仮説と整合していた。本研究では, 潜在目標の個人差が顕在目標とは独立して日常行動を予測することが示唆され, また, AMPの潜在目標指標としての妥当性が確認された。