失語症の検査成績の分析から, 言語機能と実用的コミュニケーション能力の関連を検討した。失語症者88 名に対し, SLTA と短縮版 CADL をそれぞれ2 回実施した。初回 SLTA 成績を因子分析した結果, SLTA 因子として「言語理解」, 「発話」, 「高度な言語と書字」が得られた。SLTA 因子とコミュニケーションレベルの関係を調べたところ, 「言語理解」はレベル 3 の一部援助レベルの到達に関連し, 「発話」はレベル4 の実用レベルの到達に関連し, 「高度な言語と書字」はレベル 5 の自立レベルの到達に関連した。 また, 改善においては, 大半援助レベル群では「言語理解」, 一部援助レベル群では「発話」, 実用レベル群では「高度な言語と書字」に最初の改善が認められた。言語機能とコミュニケーションレベルには, レベル上の関連が認められ, SLTA から実用的コミュニケーション能力の可能性が読みとれると考えられた。