皮膚書字覚障害は,対側の頭頂葉や脊髄後索の障害で異常を呈すると考えられているが,その検査方法は未確立である。我々は,健常成人を対象に,その検査方法を検査手技と課題内容に分けて検討した。その結果,検査手技では,刺激は,刺激の縦軸と被検者の体軸が一致するように描くのが望ましく,刺激を描く身体部位が,頭部と躯幹では,その背面で正像文字,前面で鏡像文字,また,四肢では被検者の頭と対峙する面に描く時には正像文字,その逆の面では鏡像文字で描いたほうが認知しやすいという結果が得られた。課題内容では,画数が増えるほど正答率が低下するため,画数が少ない課題が望ましく,回答方法は,選択肢が限定されたリストを提示し,同定させる方法でのみ正答率 100 %となった。以上より,我々は,皮膚書字覚検査ではアラビア数字のように周知のもので画数が少ない課題をリスト提示により行う方法を提案する。